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2006年6月30日 (金)

安倍さん、遺骨のDNA鑑定は決着済みですか?

Kim

金英男(キム・ヨンナム)さんの記者会見を見ました。
私の妻や姉は厳しい目で画面を見つめ、「全部筋書き通りに言わされてるのよ。」とか「本当に酷いとんでもない国だわね。」とか、憎悪の権化になっており、しきりに横田さん御夫妻に同情していました。

私はといえば、拉致問題の政治的な意味や、どんな人達がどんな思惑で関わっているか、今まで知り得た様々な情報が頭の中で交錯し、さらに御夫妻の横に陣取ってニコニコしている方のことも気になって、複雑な気持ちで黙っているしかありませんでした。

横田さん御夫妻を始め、拉致されて戻ってこないままの方々の御家族の心情は察するに余りあり、私なんぞが軽々しく口にするのも憚られます。

ただ一点、昨日からもやもやしていることがあります。
例の横田めぐみさんの遺骨問題です。

昨日の会見で、横田早紀恵さんは北朝鮮から提出された遺骨がDNA鑑定で別人のものだったと断言されていましたし、安倍官房長官も「日本でおこなっためぐみさんの遺骨と言われた骨のDNA鑑定は客観的な科学的な調査の結果で確定している。」と述べています。

しかし私の記憶では、帝京大の鑑定結果に対し海外の著名な科学雑誌から疑問の声が上がり、いったんはその雑誌の取材に対し、サンプルが汚染されていた可能性があると答えた鑑定者の学者が帝京大から警視庁科捜研に移って取材に答えなくなってしまい、結局国内では「別人のもの」、海外の科学雑誌では「判定不能なはず」となったままだったような気がします。

このあたりの経緯は在日コリアンの河信基(ハ・シンギ)さんのサイトのなかの拉致問題への視点で詳しく書かれています。
4月7日の記事:日本政府が公表を躊躇う「めぐみさんの夫のDNA鑑定」
昨年の記事
英誌ネイチャー「横田めぐみ遺骨鑑定は確定的ではない」(1)(2)(3)
横田めぐみ「遺骨」鑑定人の科捜研法医科長栄転は論功行賞か

長くなりますが、一部引用します。


実は、安倍長官にはその種の前科がある。
 金チョルジュン氏から引き渡された横田めぐみさんの「遺骨」についてDNA鑑定発表を引き伸ばした末に、細田官房長官(当時)が「めぐみさんとは別人の骨と鑑定された」との「鑑定結果」を発表した。その直後、1200度で高熱処理され、通常は困難とされる遺骨鑑定に関わった吉井帝京大講師が英科学誌『ネイチャー』の取材に「サンプルが汚染されていた可能性がある」と答え、鑑定の科学性に疑問符が付いた。現在に至るも、日本政府は吉井講師を警視庁科捜研医科長に転勤させて表に出さず、肝心の鑑定書も公表していない。

 一種の政治的鑑定であったことになるが、どのような政治的判断が作用したのか。
 当時の自民党拉致対策本部責任者が、対北朝鮮強硬派として売り出し、ポスト小泉の有力候補にまでなった安倍幹事長代理である。幹事長から格下げになった直後で、今一度、世論に対して存在感を示す必要に迫られていた。「ニセ遺骨で押し切る」との政治的判断を下したと考えても無理はない。
 物証はないが、状況証拠は十分である。安倍氏は庇護者の小泉首相に倣い、北朝鮮問題を、後援会のようにカネ・ヒマを注がなくとも匙加減一つで人気を回復できる、いわば安上がりの政治資源とみなしている。その種の政治的判断が常に働くと見ておいた方が理解しやすい。

Akanbo

ここでも”あ官房”がこそこそと動いているみたいですね。
北朝鮮としっかり交渉していく気があるのなら、遺骨が偽物だったのか、それとも判定できなかったのかはとても大事な問題で、いくら相手が変な国であろうと、いい加減にすませるべきではないはずです。

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コメント

news@nature.com の記事 http://www.nature.com/news/2005/050131/pf/433445a_pf.html は専門家として目を通してましたけど,やっぱりそうか,という確信が持てましたね。

最近,髪の毛の DNA が一致なんて報道が軽々しくされてますけど,髪の毛というのは1本1本が細胞ですから,抜けたとたんに毛根つまり細胞が死んでしまって DNA が分解しています。生きた髪の毛を無理矢理引き抜いたのならともかく,抜け毛はすでに死んだ細胞ですから,かなりの本数が集まらないと DNA 鑑定そのものが不可能だと法医学の立場から言えるでしょう。

同様に御用学者集団の帝京大メンバーが行った PCR 法によるミトコンドリア DNA 分析も科学的にかなり怪しい。そもそも火葬したことでミトコンドリア DNA 自体がほとんど分解されているのに加えて,もし採取できたとしてもごく微量でとても鑑定などできないというのが遺伝子工学を少しでも齧った人間なら常識というものであろう。最新科学を政治に利用したという意味ではナチスと同類だと言って構わない暴挙である。

投稿: kaetzchen | 2006年7月 1日 (土) 15時44分

もっとも気になっている事柄でした。TBありがとうございました。

投稿: ましま | 2006年7月 1日 (土) 21時46分

kaetzchenさん、おはようございます。
専門家からみたら非常識なことが、テレビを通して常識にねじ曲げられ、皆わかったような顔をして一斉に目をつり上げて、非難する。権力者は愉快でたまらないでしょうね。

投稿: panta | 2006年7月 2日 (日) 07時37分

ましまさん、コメント有り難うございます。
安倍さんは、よくこんな嘘を平気で言えるものだと思います。統一協会への祝電の件もそうですが、脇が甘いと言うより、徹底的にB層をどうにでもコントロールできるものと思っているのでしょう。それだけテレビをがっちり味方につけた自信があるのでしょうか。

投稿: panta | 2006年7月 2日 (日) 07時46分

めぐみさんの遺骨をめぐる安倍の発言について同じ意見の記事を書かれていたので、激しく同意しました。日本ではこの事実を知っている人はほとんどいないようですね。私もNatureの記事については、2ヶ月くらい前にはじめて知りました。

それにしても、総裁候補者の一人ともあろう方がこんな発言をしているようでは、本当になさけないですね。こんな奴が総理になったらと思っただけで、この暑いのに、寒気がしてきます。(((;゜Д゜)))ガクブル。

投稿: 美爾依 | 2006年7月 2日 (日) 15時03分

美爾依さん、コメント有り難うございます。

「カナダde日本語」のコメント欄にも書かせていただきましたが、この人は絶対に総理にしてはいけない人だと思います。と同時に海外の著明な科学誌に公然と載っているような事実を国民に伝えようとしないテレビや新聞は、一体何のために存在しているのでしょうか。

投稿: panta | 2006年7月 2日 (日) 18時56分

TBいただいた記事がどうやらTB制限にひっかかっていたようです。今日気づきました。どうしてだろう??
申し訳ありません。表示するようにしました。

ほんとうにこの「遺骨鑑定」問題の扱われ方はひどいですよね。

投稿: 朱夏 | 2006年7月 5日 (水) 18時58分

朱夏さん、わざわざ有り難うございます。
今日は朝から憂鬱ですが、気を取り直してとにかくマスコミの嘘を訴え続けていこうと思います。

投稿: panta | 2006年7月 5日 (水) 21時10分

米本昌平(科学者)のホームページhttp://www.clss.co.jp/shinyuri/contents/02_2005July.htmlによれば「再鑑定がベストなのだが、試料はすべて使い尽くされたとされており、検証手段がない以上、ここから先は踏み込めない。」とのことです。真相は闇の中ですね。その結果、誰が得したのかを考えるとおそろしいですね。

投稿: yamaki | 2006年7月10日 (月) 09時08分

yamakiさん、コメント有り難うございます。
日頃いろいろな事件や事故を微に入り細にわたり調べ上げて、競うように報道するテレビにとって、こんな面白いネタはないはずなのに、全く沈黙しているところが怖いですね。余程かの御仁を恐れているか、弱みを握られているかでしょう。いや待てよ、自分たちの作り上げた偶像だから当然なのかな?

投稿: panta | 2006年7月10日 (月) 21時07分

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