安倍さん、遺骨のDNA鑑定は決着済みですか?
金英男(キム・ヨンナム)さんの記者会見を見ました。
私の妻や姉は厳しい目で画面を見つめ、「全部筋書き通りに言わされてるのよ。」とか「本当に酷いとんでもない国だわね。」とか、憎悪の権化になっており、しきりに横田さん御夫妻に同情していました。
私はといえば、拉致問題の政治的な意味や、どんな人達がどんな思惑で関わっているか、今まで知り得た様々な情報が頭の中で交錯し、さらに御夫妻の横に陣取ってニコニコしている方のことも気になって、複雑な気持ちで黙っているしかありませんでした。
横田さん御夫妻を始め、拉致されて戻ってこないままの方々の御家族の心情は察するに余りあり、私なんぞが軽々しく口にするのも憚られます。
ただ一点、昨日からもやもやしていることがあります。
例の横田めぐみさんの遺骨問題です。
昨日の会見で、横田早紀恵さんは北朝鮮から提出された遺骨がDNA鑑定で別人のものだったと断言されていましたし、安倍官房長官も「日本でおこなっためぐみさんの遺骨と言われた骨のDNA鑑定は客観的な科学的な調査の結果で確定している。」と述べています。
しかし私の記憶では、帝京大の鑑定結果に対し海外の著名な科学雑誌から疑問の声が上がり、いったんはその雑誌の取材に対し、サンプルが汚染されていた可能性があると答えた鑑定者の学者が帝京大から警視庁科捜研に移って取材に答えなくなってしまい、結局国内では「別人のもの」、海外の科学雑誌では「判定不能なはず」となったままだったような気がします。
このあたりの経緯は在日コリアンの河信基(ハ・シンギ)さんのサイトのなかの拉致問題への視点で詳しく書かれています。
4月7日の記事:日本政府が公表を躊躇う「めぐみさんの夫のDNA鑑定」
昨年の記事:
英誌ネイチャー「横田めぐみ遺骨鑑定は確定的ではない」(1)(2)(3)
横田めぐみ「遺骨」鑑定人の科捜研法医科長栄転は論功行賞か
長くなりますが、一部引用します。
実は、安倍長官にはその種の前科がある。
金チョルジュン氏から引き渡された横田めぐみさんの「遺骨」についてDNA鑑定発表を引き伸ばした末に、細田官房長官(当時)が「めぐみさんとは別人の骨と鑑定された」との「鑑定結果」を発表した。その直後、1200度で高熱処理され、通常は困難とされる遺骨鑑定に関わった吉井帝京大講師が英科学誌『ネイチャー』の取材に「サンプルが汚染されていた可能性がある」と答え、鑑定の科学性に疑問符が付いた。現在に至るも、日本政府は吉井講師を警視庁科捜研医科長に転勤させて表に出さず、肝心の鑑定書も公表していない。一種の政治的鑑定であったことになるが、どのような政治的判断が作用したのか。
当時の自民党拉致対策本部責任者が、対北朝鮮強硬派として売り出し、ポスト小泉の有力候補にまでなった安倍幹事長代理である。幹事長から格下げになった直後で、今一度、世論に対して存在感を示す必要に迫られていた。「ニセ遺骨で押し切る」との政治的判断を下したと考えても無理はない。
物証はないが、状況証拠は十分である。安倍氏は庇護者の小泉首相に倣い、北朝鮮問題を、後援会のようにカネ・ヒマを注がなくとも匙加減一つで人気を回復できる、いわば安上がりの政治資源とみなしている。その種の政治的判断が常に働くと見ておいた方が理解しやすい。
ここでも”あ官房”がこそこそと動いているみたいですね。
北朝鮮としっかり交渉していく気があるのなら、遺骨が偽物だったのか、それとも判定できなかったのかはとても大事な問題で、いくら相手が変な国であろうと、いい加減にすませるべきではないはずです。
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