« 2007年2月 | トップページ | 2007年4月 »

2007年3月の4件の記事

2007年3月29日 (木)

ビラ

Tenpuku_2

もう随分前の話になりますが、喜八さんのところで謎の憂国者「r」さんからのメッセージ「一票一揆」のススメ...を読ませていただきました。何とかビラを作りたいと思っていましたが、時間ばかりが過ぎていきました。そうこうしているうちに世の中はもう統一地方選挙に突入しています。前々回の記事上と下(政府転覆の勧め)をベースに急遽ビラをこしらえましたが、公職選挙法との絡みもわかりませんし、デザインやレイアウト、とりわけ文章がまだまだ納得いかないところ多々です。使える代物かどうかわかりませんが、とりあえずアップします。

ビラをダウンロード

| | コメント (1) | トラックバック (17)

2007年3月24日 (土)

タミフルその後

Tamiflu

ようやく少し落ち着いてきましたが、まだまだインフルエンザが猛威をふるっています。私の診療所では全外来患者さんの10%前後がインフルエンザなどという日が毎日のように続いていました。少ないように思われるかも知れませんが、救急病院とは違って慢性疾患の方が大部分を占める毎日の外来で、呼吸器や消化器の急性疾患や外傷の患者さんの割合というのは普段は数%くらいです。ですからインフルエンザの方が10%前後になるともう朝から晩までインフルエンザの診療ばかりをしている感覚になってしまいます。
前の記事で私の所では異常行動は一件も経験していないと書いたばかりですが、先日インフルエンザの診断をした10代の小学生の女の子のお母さんから、昨年タミフルを飲ませた際に”絨毯の留めピンを次々に引き抜く”という異常行動があったことをお聞きしました。一方今回タミフルを処方しなかったインフルエンザの中学生の男の子のお父さんからは、”大声を出して壁を叩いて大変だった”ということを後日お聞きしています。
タミフルを内服した方、内服していない方の異常行動をそれぞれ1例ずつ経験したわけですが、こんな僅かな例からはタミフルと異常行動の関連について末端の開業医の私のレベルでは到底判断がつきません。早く厚労省の追加調査の結果が出て、異常行動についてタミフル服用者と非服用者の間に有意差(統計学的に明らかな差)があるかどうかをはっきりさせていただきたいものですが、結果が出るのは夏頃とのこと、途方もなく先です。
そして研究班の複数の教授の講座に販売元の製薬会社から多額の寄付金が来ていることも明らかになりましたが、これでは調査結果を胸を張って患者さんに説明できるわけがありません。この業界に限らず献金なんていうのは結局何らかの利益誘導に意図的或いは結果的に結びつく可能性が高いのですから、もういい加減にやめて貰いたいです。そんなにお金を払いたいのなら自らの税金を上げて貰う運動でも始めて下さい。

| | コメント (4) | トラックバック (4)

2007年3月 9日 (金)

上と下(政府転覆の勧め)

Koizumisagi_3

小泉前首相は「格差はいつの時代でもある」と言ったそうです。この場合の格差は主に貧富の上下を言っているのだと思いますが、小泉さんに言われなくても2人以上の人間がいれば必ず”格差”=”上と下”が生じてくることに異論を唱える人はいないでしょう。そして”上”が必ずしも幸せそのものというわけでもなく、”下”で貧しくとも幸せな人を探すのに事欠かないのも世の現実です。

しかしです。下が底なし沼のように深く、暗く、命も奪われてしまうようなものならばそうはいかないでしょう。(そうならないようにするのが民主国家の政治家の役割ではなかったのですか?小泉さん!)「貧しくとも幸せ」というのは人が生きていく上で最低限の衣食住が保証(とくに病気や老後や災害時に!)され、かつ自由にものが言えるときに初めて言えることです。それさえ保証されていれば”上”の人達がこれ見よがしの豪奢な生活をいくらしようが、「どうぞ御勝手に、私は今とても幸せですから」と思うこともできます。若い頃、私は日本国憲法第25条の「健康で文化的な最低限度の生活」の”最低限度”という言葉の意味がもうひとつ腑に落ちませんでしたが、今は自分の不明を恥じるばかりです。

Homeless

その昔”一億層中流”と言われていた頃がありました。日本がまだ力強く経済成長し続けていた頃ですから、給料のアップや目に見える生活の向上から「自分は”下”ではない、中流だ」と思わせる満足感が多くの人達にあったのでしょう。しかし目覚ましい経済成長はもう望めそうにもありません。”上”にも”下”にも大盤振る舞いはもうできないでしょう。限りある国の資金をどう割り振っていくかが今まで以上に大切になってきますが、残念ながらそれをきめるのは”上”の人達です。民主国家というのなら、そして数の上では圧倒的に多い”下”の人達から選挙で選ばれた民主的な政府であるのなら、まずは”下”、それも病気や失業や老齢や障がいで”最も下”の方に追い遣られている人々の最低限の生活を保障することが何をも差し置いて選択されるべきはずです。底なし沼ではなく安心して足をつけられるしっかりした”底”を築きあげることに注力すべきはずです。しかるに今の政府はそうではなくまさにその正反対のこと、”下”の人をより下に蹴落とし、底なし沼の底に沈めてしまうことで上の人達の生き残りを図ろうとしているように見えます。

どんな主義、政党、階層、宗教などであれ、権力を手にしたときから格差の頂点に君臨することになります。現実に権力を手にしている勢力やその取り巻き達が最上部に位置し、世の中を支配しています。彼らはもちろん下には落ちたくないからあの手この手でその権力を維持しようとします。従って格差は放っておくと拡大し、固定化されることは歴史が証明しています。人類の民主化の歴史というのは、差別や格差との闘いにほかなりません。多くの犠牲を払いながら様々な民主的な仕組みが築き上げられてきました。そのひとつが「普通選挙」です。このときばかりは”上”も”下”もありません。みな平等に1票を持っています。そして”下”の持つ票数の方が圧倒的に多いはずです。

Box

今こそ民主主義の最強にして最後の武器である、選挙権を有効に行使しようではありませんか。格差を固定し広げようとする政府なんぞは転覆させてやりましょう! ”下”を蹴落とし、”下”をないがしろにして自分だけ生き残ろうとする政治家はその首をすげ替えてやりましょう! テレビを始めとするマスコミに踊らされたり(テレビやマスコミは”上”の人達と仲良しです)、御世話になっている人のいいなりになったり(その人は神や仏の代弁者ではありません)して投票するのはもう止めましょう。恐れることはありません。あなたが誰に投票したかなんて誰にもわかりません。様々な理由で自分が”下”に落ちたときにも安心して暮らせる日本にしてくれるかどうかを判断の基準にして投票してください。今のうちにしておかないとその「普通選挙」さへ危うくなってくるかもしれません。

以下のブログ記事を参考にさせていただきました。(勝手にリンクを張らせていただきます。)
「一票一揆」のススメ…喜八ログ
世界一受けたい授業と格差社会(A Tree at ease

| | コメント (5) | トラックバック (39)

2007年3月 6日 (火)

タミフル

Tam_2


タミフル(リン酸オセルタミビル)内服後の若年者の異常行動が取り沙汰されています。突然高い所から飛び降りたり、裸足で家を飛び出して車に撥ねられ命を落とすなどという痛ましいニュースも目にします。皮肉なことにこの件が盛んに報道されるようになった頃から、私の所ではインフルエンザの患者さんが急激に増え始め、タミフルの処方を考慮する機会に多々直面するようになりました。厚労省からは2月28日付で、
特に小児・未成年者に関してはインフルエンザの診断・治療開始後にはタミフルの処方の有無を問わず
1.異常行動の発現のおそれについて説明すること
2.少なくとも2日間は一人にならないよう配慮すること

という通達が届きました。「タミフルの処方の有無を問わず」という所がみそですが、タミフルとの関連性を匂わせる報道がなされてからの通達ですから、少なくとも小児や未成年者に対してとても納得のいく説明をしてこの薬を処方することはできません。現在私は小児や未成年者への処方は中止しており、成年の場合も患者さん自身に決めてもらい、迷っている方には処方しないようにしています。

御存知の方も多いと思いますが、タミフルは添付文書上はインフルエンザの症状発現から48時間以内に使用した場合のみの有効性がうたわれています(それ以降の場合は「有効性を裏付けるデータは得られていない」という書き方になっています)。一方予防投与も認められており(但し保険外)、この場合はインフルエンザウイルス感染症患者に接触後(即ち感染後ということになりますか…)2日以内に投与を開始することが条件なっています(こちらの方もそれ以降の場合は「有効性を裏付けるデータは得られていない」という書き方になっています)。インフルエンザの感染から発症までの潜伏期間が24〜48時間程度といわれていることからすると、極めて短いチャンスにしか処方できない薬というわけです。

タミフルが登場する2001年までは、インフルエンザには手も足も出ず「台風の時のように、じっと身を屈めて通り過ぎるのを待ってください。」としか患者さんには言えませんでした(シンメトレルという薬もありましたが、いろいろな意味で使いづらい薬でした)。「この熱を何とかしてくれ」、「この痛みをどうにかしてくれ」と来院する患者さんに対して、何もできないことほど医者にとって辛いことはありません。効果のある薬や治療法があればこれもしてあげたい、あれもしてあげたいというのが正直なところです。タミフルは待ち望んでいた薬で、実際インフルエンザの定番薬として社会的にも定着し、患者さんの方から言及されることも希ではなくなりました。今年もすでに私の所では60有余名の患者さんに処方しています。小児科は標榜していませんので小児は少ないのですが、それでもこの6年間にかなりの数の未成年者にも処方してきました。幸い私が把握している限りでは異常行動を含めて副作用は一件も経験していません。経験上は比較的安全な薬だと認識しています。

一般に薬剤は使用例が増えれば増えるほどいろいろな副作用がクローズアップされてきます。今回の異常行動がタミフルそのものの副作用なのか、インフルエンザの精神症状によるものなのか(先ほどのシンメトレルはタミフルと作用機序が違いますが、やはり自殺企図の警告が添付文書にあります)、一介の開業医である私には判断不能です。ついでに言うと何故日本だけタミフルの使用量が突出して多いのかとか、日本の一般的な処方薬の薬価が海外と比べて割高なのかどうかなどということも私には判断する手だてがありません。

インフルエンザに対する抗ウイルス薬にはもうひとつリレンザ(ザナミビル水和物)という薬もあります。現在注文が殺到して品薄状態と聞きました。一日薬価はタミフルより少し安かったと思いますが、吸入という方法が敬遠されるのか患者さんの評判はもうひとつのようです。その吸入という患部への到達方法が故に効果発現も早いようですし、また副作用の発生も少ないかも知れません。ただ作用機序はタミフルと同じと思われるので使用症例が増えてくればどうなるかわからず、今のところはタミフルと同列に対処するつもりです。

当分の間はタミフルの効果(平均4〜5日といわれるインフルエンザの症状の強い期間を約1.5日短縮すると言われています)とその有効な使用開始時期、異常行動に関する注意などを一生懸命に説明する毎日が続きそうです。

| | コメント (9) | トラックバック (11)

« 2007年2月 | トップページ | 2007年4月 »