シリーズ医療も命も削られる(序)
全国保険医団体連合会(保団連)の雑誌「月刊保団連」1月号の臨時増刊「医療も命も削られる」はA5判30ページの小冊子ですが、現在の医療現場のおかれた状況をわかりやすく解説してありとても参考になります。お近くの病院や診療所の待合室に置かれているかも知れませんので、是非一度御覧下さい。また保団連(TEL 03-3375-5121 FAX 03-3375-1885)やお住まいの都道府県の保険医協会で一冊150円で購入できると思います。(と書いたのですが、あめんほてっぷさんから保団連のHPにPDFがあることを教えて頂きました。手っ取り早く見てみたい方はそちらのほうをどうぞ)
全部で7章からなりそれぞれの章題は下記の通りです。
図版や内容を引用してもよいとの了解を得ましたので、これから何回かにわたって御紹介しようと思います。できるだけ分かりやすくかつ簡潔に書くことを心がけるつもりです。
まず手始めに表紙裏の前置きをそのまま引用します。
「産科施設が激減!」
小児科も、外科も、救急も…医師不足による医療機関の廃院や診療科の閉鎖が深刻な社会問題になっています。「産科が相次いで閉院。市外まで行かなければ出産できない」「50キロ離れた産科医院に救急車で移動中、車中で出産した」。02年に全国6000カ所とされていた産科医院ですが、実際に分娩を行っているのは3000カ所になっていることが05年の学会調査で明らかになっています。その後も「産科医師が足りず、安全性が保てない」「採算がとれない」などと、分娩を取りやめる産科医療機関が続出しています。産科にとどまらず、小児科、外科、救急を受け入れる病院などもどんどん地域から姿を消しています。
日本の医療制度は大きな歪みを持っています。政府が長年医療にお金をかけなかったため、日本の医療費は、先進7カ国で最低水準になっています。その一方、患者負担は先進国一高くなっています。
私たちはこうした、医療にお金をかけない政府の姿勢を「低医療費政策」と呼んできました。
この冊子では、この低医療費政策がもたらした様々な矛盾や問題点を見ながら、日本の医療について考えていきたいと思います。
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コメント
http://hodanren.doc-net.or.jp/kenkou/isi-fusoku.pdf
保団連のサイトを見たら、PDFでも配布されていましたね。さっそくプリントアウトして読んでみます。
投稿: あめんほてっぷ | 2007年5月 9日 (水) 09時51分
あめんほてっぷさん、こんばんは、教えて頂き感謝しています。
本文中にもリンクを張りました。
投稿: panta | 2007年5月 9日 (水) 20時19分
こうした内容をもっと一般の方にわかってほしいですね。
どうしてもマスコミ(特に毎日新聞?)は医者を叩くのが大好きですから。
報道に関しても常々疑問を感じています。
厚生労働省が出す通達をそのまま何の疑問を抱かずに垂れ流しして、もっと医者は働けだの目に余るものを感じます。
と、無駄に熱くなりましたが・・・^^;
なかなか勉強している雑誌としてはこちらは有料ですが東洋経済新聞の医療問題特集を扱った号は秀逸だと思います。
http://www.toyokeizai.co.jp/mag/toyo/2007/0428/index.html
是非自分の手元、外来、事務に1冊づつ(笑)
産科小児科は危ないというよりもすでに崩壊していますが・・・
開業医も24時間体制で往診などに対応しろという無茶な流れにもなっています。開業医も崩壊→勤務医側も続いて崩壊という流れになりそうで非常に怖いです。
トラックバックいくつか送らせて頂きます。
投稿: アルよし | 2007年5月 9日 (水) 21時55分
訂正^^;
東洋経済新聞→週間東洋経済
でした。
投稿: アルよし | 2007年5月 9日 (水) 21時56分
アルよしさん、はじめまして、コメント有り難うございます。
私も30代半ばの開業当初は入院もあり、24時間体制で頑張っていましたが、深夜の救急などが続き結局ダウン、1日だけですが自分が入院する羽目になってしまいました。50代の現在、入院はやめており、時間外もやむを得ない場合しか対応できていません。24時間体制で深夜の往診もありというのは一人でやっている開業医には無理な話だと思います。
投稿: panta | 2007年5月10日 (木) 08時30分
週刊東洋経済ですね,という突っ込みはさておき.(^^;)
ギョーカイ仲間で愚痴垂れていても仕方がないのですけど,はっきり言ってこれは体力勝負です.私も病に倒れたので,患者としてしか意見が言えないのが悲しい所ですが.
逆に言うと,運良く身体も壊さず,運動不足にもならず,さういう医者にわたしはならねばならない(笑) という皮肉が現場を知らない役人(医学部出た技術官僚も含めて)や政治家から聞こえて来るような気がしてならないのです.
あと,病院で(特に自治医大卒の)レジデントを見ていて思うのが,医療技術を身につけながら,医学部博士課程とを往復するのはちょっと無茶やないない,と思ったり.若いから体力がついていけるけど,まともなD論として通用するんかいな,と心配になってきます.私は M.D. だから,日本のD論のレベルの低さにはいつも呆れてるんだけど.これじゃ自治医大卒のドクターは医者としてもDとしても中途半端になるんとちゃうやろかと,ときどき意地悪な質問をしてはいじめまくってたりします.
投稿: kaetzchen | 2007年5月12日 (土) 19時00分
たしか兵庫「保団連」のこのバンフレットは、第3集じゃなかったかなぁ〜。1、2集ともかなりお勧めです。
わたしはかかりつけ医のところから、いつもゲットしています。保険診療しているクリニックや病院(つまり、ほとんど…)は保団連に入ってますから、このパンフレットは届いているはずです。
それをクライアントの患者に広めようという気があるどうかで、受付あたりに置くか、ゴミにするか、ずいぶん対応が違うのだと思います。タダで手に入りますよ。皆さん、近所の医者で、確かめてみましょう。
投稿: 谷口硝子 | 2007年5月12日 (土) 21時52分
kaetzchenさん、いつもコメント有り難うございます。
遠い昔、わたしが医局からある町立病院に派遣されていたとき、自治医大卒の先生と御一緒していた時期があります。彼は日々の診療の傍ら、一生懸命研究もしていて頭が下がりました。その後は彼も含め自治医大卒の医師との接触はありませんが…。
投稿: panta | 2007年5月13日 (日) 21時56分
谷口硝子さん、はじめまして。コメント有り難うございます。
本当によくまとまっていて読みやすい小冊子だと思います。保団連からは1冊が送られてきましたので追加注文できないかと聞いたら、有償(1冊150円です)でOKでした。一般の方にも販売してくれると思います。
投稿: panta | 2007年5月13日 (日) 22時04分