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2007年6月15日 (金)

シリーズ医療も命も削られる(2)

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保険診療と診療報酬

シリーズ医療も命も削られるの2回目です。
1回目の「なぜ起こった? 医師不足」の前編後編では、最近騒がれ始めた医師不足の根本原因として医療にお金をかけない国の姿勢(低医療費政策)をあげました。その最大の手段が「診療報酬抑制」です。

診療報酬とは公的医療保険(皆さんが病院の窓口に差し出す保険証でまかなわれている制度です)が適用される医療の範囲とその値段を定めたもので、いわば「医療サービスの料金表」です。一般的な病気の治療であればほぼすべてが事細かく記入されています。よく”この治療には保険がきく”などという言い方をしますが、それはその治療がこの料金一覧表の中に含まれていると言うことです。この料金一覧表に含まれている範囲の医療行為を保険診療といいます。よく医師の処分で”保険医停止”や”保険医取り消し”などを耳にすると思いますが、その処分を受けた医師に診てもらっても保険が利かず全額患者さんの自己負担になるということです。

診療報酬で定められた料金が医療機関の収入となるわけですが、ここからが少し複雑です。よく医療保険では”何割負担”などという言葉が使われますが、これはその料金総額の何割を患者さんが医療機関の窓口で実際に支払う(窓口負担)かと言うことです。残りの額は1ヶ月単位でまとめられ、2ヶ月遅れで医療機関の銀行口座に公的医療保険機関(皆さんが医療保険の保険料を毎月支払っているその支払先です、と一口に言ってもとても複雑ですが…)から振り込まれます。窓口負担0割ならすべて公的医療保険でまかなわれるということで心置きなく医療を受けられるわけです。逆にこの割合が高いほど皆さんにとって医療保険は頼りにならなくなるわけですが、近年窓口負担割合は徐々に引き上げられ現状はほぼすべての人が3割負担、高齢者も来年からは2割負担が決まっています。

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診療報酬抑制(削減)ということはこの医療サービスの料金表のメニューを減らし料金を下げることです。この診療報酬抑制(削減)によって何がもたらされるかこの小冊子では以下の3点をあげています。


  1. 診療報酬が削減されるということは、その前と全く同じ医療行為をしていても無条件に医療機関の収入が減らされるということです。これが経営の悪化につながれば設備や機器の買い控えや人員の削減を招き、医療の質や安全性に影響を及ぼして結局は患者さんにしわ寄せが来てしまいます。

  2. 医療サービスのメニューが減らされたために、従来行っていた医療が保険で提供できなくなり、実際このことで深刻な事態が起こっています。

  3. 保険が利かなくなっても患者さんにとって必要な医療であれば、保険外でも受けざるを得ないわけで、そういう自費の医療が増えれば患者負担は大幅に増加します。

医療サービスの料金が下がればそれだけ患者さんの負担が減っていいじゃないかとも思われますが、窓口負担割合が増加したときの不満(医療機関の収入が増えると勘違いされる方もいます)に比して、診療報酬が引き下げられた恩恵を口にする患者さんの声はほとんど耳にしません。診療報酬の改定は毎回数パーセントですので、その3割以下を負担する一人一人の患者さんにとっては目に見えた減額にはなっていないのかも知れません。

小泉内閣が行った2006年4月の診療報酬改定では、3.16%と史上最大の引き下げとなりました。国民医療費30兆円の3%ですから約1兆円です。よく”無駄な医療費”という言葉が使われますが、健康食品の市場規模が2003年から毎年1兆円を超えていることを考えると、本当に無駄なのは何かと複雑な思いに駆られます。

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