カテゴリー「映画・テレビ」の5件の記事

2007年4月20日 (金)

日本て独立国じゃなかったの?

Ohtasori

「太田光の私が総理大臣になったら...秘書田中。」という番組、評判はよく耳にしていました。さりとて夜ゆっくりテレビを見る余裕もなく一度も見ずに終わっていたのですが、先日とうとう見ることができました。

「マニフェスト:アメリカとの同盟関係を一旦白紙にします」編をニコニコ動画の小さな画面で見ました。最初に”太田総理”のマニフェストが発表され、一部ドラマ仕立てになった解説映像が続くのですが、あの「年次改革要望書」が出てきたり、いかに日米同盟が日本にとって隷属的なものかという論調でした。”太田総理”を挟んでマニフェストに対する賛成派と反対派が左右に陣取る配置になっていますが、年次改革要望書は日本側からもアメリカに出されているという反対派の発言は、「そんなのはずっと無視され続けている」と共産党の人に一蹴されていました。反対派の席にいる米人女性から「一度白紙にしてみたら? そうしたら日本人もその有り難みがわかるでしょうよ」的な本音とも言える高慢な発言があったり、小倉優子の「日本て独立国じゃなかったの?」発言が飛び出したりとなかなか興味深い内容でした。

議論が戦争のことに及んだ際に、”太田総理”が「おれは(自衛隊員など)他人を戦場に行かせといて自分は平気ではいられない。戦争になったら俺も戦場に行くから、石破(元防衛庁長官)さん、あんたも一緒に行こうよ!」と絶叫調で何度も何度も呼びかけていました。これには石破本人を始め反対派からは何ら有効な反論が返せずタジタジのようでした。恐らく自分たちの今のステータスは「余人を持って代え難し」と思っていて、戦場の露と消えるのは勿体ないということでしょう。自衛隊員を犬死にするかも知れない戦地に平気で送れても、自分たち自身がそこで死ぬことは国家の大きな損失だと考えているのでしょう。
番組内ではこのマニフェスト、賛成9票、反対15票で否決されましたが(ただし冒頭では反対だった人が一人賛成に回っています)、一般視聴者の投票では賛成48%、反対52%と僅差なのは、当を得た解説のせいでしょうか、はたまた”太田総理”の魂の叫びが届いたせいでしょうか。

Murata

それにしてもしたり顔をして米国への隷従が最良の選択かの如く、米国人と一緒になって得々と語る日本人が少なからずいることには呆れ返ってしまいました。いまこういう人達がこの国を牛耳っているのだなということがよくわかりました。

Kamikaze

太平洋戦争に散った兵士達は彼らをどう思うでしょうか。私の右半分を占める愛国的なマグマがひたひたとせり上がってくるのを感じた十数分でした。

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2007年2月27日 (火)

ハケンのピンはね

Temp

私も妻も忙しくゆっくりテレビを見る暇もないので、見たい番組(決して私のではなく妻の、「見たい番組」になってしまいますが…)はビデオに録画しておき、食事時に何回かに分けて見ることになります。最近の妻のお気に入りは「ハケンの品格」です。妻に言わせると面白くてたまらないそうです。
”スーパー派遣”と言われる主人公が、その派遣の仕事とは直接的にはあまり関係のなさそうな様々な事態を見事に解決して会社の危機を救うという荒唐無稽なストーリーですが、そのコミカルな演出の面白さや番組終盤のお約束的な主人公の八面六臂の大活躍にカタルシスを感じて受けているのでしょう。
それだけなら別にいつものように私はテレビの画面には目を向けず、黙々と食事をしているだけなのですが、どうもこの番組には胡散臭さを感じてしまいます。番組の冒頭で「驕る正社員は久しからず」というナレーションを毎回聞かされ、内容的にも正社員が有ること無いことで派遣社員を理不尽にいじめ、否が応にも視聴者は派遣社員に感情移入させられてしまいます。派遣会社のマネージャーは人間味のある話のわかった人に描かれていたり、ある回では嘱託の老社員に対して「あの人はただ机に座っているだけで私たちの倍のお給料を貰っている」という台詞が出てきたりと、派遣社員の置かれた不公平な状況に対する派遣会社や派遣先企業の責任を、無能な正社員たちの横暴さに巧みに単純化してすり替えています。またやたらと”スキル”という言葉が使われていますが、どうもエクセルが使えるとか、何とか試験の何級を持っているとかの資格のことを言っているようです。職人さんの”匠の技”に較べるべくもないのでカタカナ言葉を使っているのかと思いましたが、何のことはない番組スポンサーに”スキルアップ”の資格取得の通信教育会社が入っています。もちろんいわゆる人材派遣会社もしっかりスポンサーを務めており、この番組の企図するものが見えてきます。

Human

妻はそんな見方をしたら面白くないと言いますが、うちの若い職員もこの番組をとても楽しみにしているそうで、「派遣がかっこいいのに、それを正社員がいじめるんですよ。」と言っていたとか…。今のところ送り手側の目論みは大成功のようです。
厚化粧をたっぷりして素顔を隠し、派手できわどい衣装を身につけて人目を引かせるのは最近の流行のようです。でもいくら「品格」とか「スキル」とかいう言葉をちりばめ、”スーパー派遣”に荒唐無稽な大活躍をさせても物事の本質というものは昔も今も変わるわけがありません。「労働者の派遣」というとすぐに「手配師」とか「ピンはね」とかいう言葉が浮かんできてしまう古い人間の私にはついて行けない番組です。

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2006年6月16日 (金)

うそつきテレビ

Tvstation

きっこのブログ昨日今日とテレビの"やらせ"について書かれています。

日本テレビがやり玉に挙げられていますが、他の民放も似たり寄ったりでしょう。(NHKは"やらせ"というより平壌放送化というべきでしょうか…)

私の妻が学生の頃ですから数十年前のことですが、ある習い事をしていて、その会にテレビからの出演依頼があったそうです。
もう故人となったタレントが司会をしていたそうですが、水着姿でプールに入っているシーンを撮影するところもあり、妻はそれがどうしてもいやで出演を断わりました。
その習い事の会は妻以外は学生はおらず、結構年配の人(と言っても当時の妻から見てのことですが…)もいたそうですが、彼女らによって水着シーンも含めて撮影は敢行され、「花の女子大生何たら…」の題名で堂々と放送されたそうです。

こんな昔から"やらせ"は行われていたというわけです。

テレビというのは一見華やかで、かっこよさそうです。
でもそういうものにつきものの軽薄さ、傲慢さ、酷薄さが最近とみに目立ちます。
ところが、何十年とテレビに洗脳され続けてきたB層の人たちには、その嘘っぱちを見破る力がすっかり消え失せてしまっているようで本当に心配です。


♪テレビはうそを〜、つく〜ものさ〜。
♪テレビは人を〜、だま〜すもの〜。
♪信じちゃいけない、いつ〜の日も〜。
(センチメンタル・シティ・ロマンスの「雨はいつか」のサビのメロディーで)

6月17日追記:
喜八さん、共謀罪のエントリーを毎回TBして下さってありがとうございました。
その都度、当方からTBをお送りしようとするのですが、なぜかTBできません。
コメントを受け付けておられない(理由はkaetzchenさんの記事を読んで最近知りました。)ので、この場を借りてお礼を申し上げます。

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2006年1月14日 (土)

smile again (^_^)

sa_main

ヘンリー・オーツさんからコメントを頂いたこともあって、紅白の"smile again"をじっくり視聴しました。

前回のエントリーでも書いたように、私の妻は新年になってからもかなりの長期にわたってビデオにとって置いた紅白を、数曲ずつ見ていくのが常です。


9.11以来すっかりワイドショー嫌いになってしまった私の希望もあって、最近食事の時間はいつもその紅白ビデオを見て過ごしています。


今日は丁度、"松任谷由実 with Friends of Love the Earth"の"smile again"を視聴しながらの昼御飯でしたが、いつのまにか涙がじわーと溢れてきていました。


巻き戻して,もう一度聴いてまた涙…。


早速、iTunes Music Store から200円で購入し、今それをBGMにこのエントリーを書いています。


shanhainight

あの夢のような上海の夜景をバックに日中韓比のシンガーが素晴らしい歌声を競い合う。



まるで東アジア共同体が実現して、各国人がお互いに敬意を表しつつ自国の文化を誇りあって大晦日の東アジア紅白歌合戦が行われ、それを留学生の李くんやホームステイ中の毛さんとワイワイ言いながら視て新年を迎えているような、そんな錯覚に私は捕らわれていました。



NHKよ、ありがとう!



これが今回の紅白の、そしてNHKの心ある人たちの渾身のメッセージだったんですね。



だからこそみのもんたさんにはもう少し気の利いた感想を発してもらいたかったんですけど、全体を通して感じられた彼の姿勢は、その逆でした。



そして日頃韓国や中国を口汚く罵っている人たちにこそあの場面をみてもらいたいと考えたのは私だけではないと思います。

がんばれ! NHK。

負けるな! NHK。

(06.1.12)

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2006年1月 9日 (月)

Always, そして紅白

元日に家族で「Always 三丁目の夕日」を見ました。always

もう初っぱなから涙腺が緩みっぱなしで、声を上げて泣きそうになるのをこらえるので必死でした。

久しぶりに、気持ちの良い涙を思いっきり流すことが出来ました。

実は年末は、家族のことで以前からの心配の種が危機的状況になりつつあり、毎日毎日なりふり構わぬ状況が続き、憔悴しきっていました。

ブログの更新もままならず、TBやコメントに対してもほったらかしの状態が続いていました。

TBやコメントを下さった方々、大変失礼しました。

この場を借りてお詫びします。

心配の種は決して消えてはないのですが、なんとか一息つけることが出来て皆で映画に行った次第です。

そんな状況の私に対して、この3丁目の住人達のまっすぐでひたむきな生き方は、ああ日本にもこんな時代があった、私にもそういう頃があったんだ、希望を捨てずに頑張ろうという気持ちを強く呼び起こさせてくれました。

あの日本人に明るい希望があった時代、そして日本人が皆、戦争に繋がるすべてのものを理屈ではなく生理的に拒否していた時代、そんな時代に私は生まれ育ったんだなあとしみじみ思った次第です。

ちなみにこの映画の設定の昭和33年には私はまだ幼稚園にも入っていない歳でしたが、当時私が住んでいた東北の片隅の小さな市では私が小学校に入学した頃も同じような夕焼けを見ていた気がします。

本当にお勧めの映画です。

上映延長が決まったそうなのでまだの方は是非見てみてください。



さて、次に紅白です。

kohaku

本当は大晦日にあった紅白歌合戦の方が時間的に先のはずですが、今回は例の9.11からテレビを見るのを止めていましたし、総合司会が例の人だったので私自身はリアルタイムにはほとんど見ていませんでした。

mino2

私の家では毎年紅白を家内がビデオに撮っていて、それを正月になってからも食事時などに細切れに繰り返し見るのが常です。

そういうわけで、今回何日もかけて久しぶりにテレビを、と言っても紅白だけですが、じっくり見させてもらいました。

例の人は「紅白でNHKをぶっ壊す」なんて早速誰かさんむけのリップサービスをしていましたが、琴欧州の紹介の時に「ヨーグルト!」なんて叫ぶのが関の山のようでした。

番組が進行して行くにつれてわかってきたのは、NHKが戦後60年ということを曲がりなりにもひとつのテーマに据えて、戦争や原爆の悲惨さを伝える詩の朗読を間に入れたり、平和の大切さや戦争や差別のない世界を意識したいくつかの選曲をしていたことです。

その朗読や歌のときは、その内容そのものと、もうひとつは「まだNHKはぶっ壊されていない、内部の人たちは踏ん張ってくれている」という想いの、二重の感激に浸っていましたが、それをことごとくあの人は台無しにしてくれていました。

さだまさしが「広島の空」を歌い終われば、「長崎はほんと、坂がおおい所なんです。」としめくくり、森山良子と直太朗の「さとうきび畑」が終われば「本邦初公開、親子共演です。」とわざとらしく人々の関心をはぐらかそうとしていました。

yamane

山根アナウンサーの「今年は戦後60年で…」の発言をわざと無視して次の話題に移る念の入れようです。

今回の紅白を通してずっと感じられたみのもんたと山根アナの間に漂っていたよそよそしさや、紅白後のみのもんたの「NHKに対して大不満」発言から察するに、戦後60年ということで、それにふさわしい平和のメッセージを何らかの形で表現して欲しいというNHK側の要求を、みのが今年の年男のあのお方(本当は午年ですけどね)に倣って傲然と無視したのかなと思ったりしてみた今年のお正月でした。

(2006.1.9)

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